現在の情報によると、次世代の AirPods Pro 3 には心拍数を測定する機能が追加される予定で、すでに発表されている Powerbeats Pro 2 と同様に、イヤホンを通じて心拍を測定できるようになるとみられています。
しかし、イヤホンで心拍を測るってどういう仕組み?本記事では、その原理を分かりやすくご紹介します。
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Apple はどのようにイヤホンで心拍を測るのか?
方法は主に以下の2つです:
- PPG技術によるLEDでの脈拍変化の測定
- 耳周辺の「心音」をマイクで検知
方法①:LEDで脈拍変化を感知(PPG)
心臓が鼓動すると血液が組織に流れ込み、光の吸収・反射の特性が変わります。PPG(光電式容積脈波)技術は、LED(通常は緑色)で皮膚を照らし、その反射光の変化を光センサー(フォトダイオード)で検出します。
たとえば、Apple WatchやPowerbeats Pro 2はこの技術を採用しており、Apple Watchは手首、Powerbeats Pro 2は耳道付近の血流を測定しています。
仕組みは以下の通りです:
- LED光が皮膚を通って血管に届く
- 血液中のヘモグロビンが緑色光を吸収
- 心拍のタイミングでは血流が増加 → 光の吸収が増え、反射が減る
- 拡張期では血流が減少 → 光の反射量が増える
この光の反射量の周期的変化をセンサーが検出し、心拍数を算出するという仕組みです。
方法②:心音を使って心拍リズムを計測(PCG)
心臓は収縮時に「ドクン、ドクン」という音を発生させます。これを「心音(Phonocardiogram/PCG)」と呼びます。
この音は胸部だけでなく、骨伝導や耳道を通じて耳付近でも確認できます。もしイヤホンに高感度マイクとノイズキャンセリング機能が備わっていれば、微細な心音も検知できる可能性があります。
医師が聴診器で心音を聞いて診断するのも同じ原理です。
Apple は 2024 年と 2025 年に発表した研究論文で、PCG 音声から Mel スペクトログラム、MFCC、パワースペクトル密度、RMS エネルギーなどの特徴を抽出し、2D 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で学習させたところ、誤差 1.4 bpm 以下の精度で心拍数が推定可能であると報告しています。
さらに Apple は、HuBERT、wav2vec2、Whisper、CLAP といった音声認識モデルでも心音を解析できることを確認。その中でも Apple 独自で訓練した非公開の CLAP モデルが最も高精度で、平均誤差 1.88 bpm、最小で 1.33 bpm という安定した結果を示しました。
光と音、どちらが優れている?
「心音+AIモデル」による方法はまだ研究段階で、実際の製品には搭載されていませんが、追加のセンサーを必要とせず、既存の AirPods Pro のマイクとノイズキャンセリング機能だけで実現可能な点が大きな利点です。
一方、LED による光学式の心拍測定技術(PPG)は、すでに Apple Watch、Powerbeats Pro 2、Fitbit などで商用化されています。おそらく AirPods Pro 3 にもこの方式が採用される見込みです。安定性の高い技術ですが、LED と光センサーの追加が必要なため製造コストが増加し、さらに肌に密着しないと測定誤差が生じやすいという課題もあります。
まとめ:どちらにもメリットがあるが「補助的な健康管理」にとどまる
現時点では、どちらの方法も「絶対的に優れている」とは言えません。いずれも日常的な心拍変化の傾向を把握したり、不整脈の兆候をチェックしたりする補助的用途に使われることが想定されています。
AirPods Pro 3 で心拍測定がどのように実装されるのか、今後の正式発表が楽しみですね。
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