iPhone 16e は、現在販売されている 最も手頃なエントリーモデルの iPhone であり、カメラも iPhone SE のコンセプトを継承したシングルレンズ設計 となっています。
今どきのスマートフォンとしては珍しいこの仕様ですが、デザインはシンプルで美しいものの、
「本当にシングルカメラで日常の撮影に十分対応できるのか？」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、iPhone 16e のカメラを徹底検証し、フラッグシップの iPhone 16 Pro と比較！どれほどの差があるのか、また 実際に使って感じたポイント も紹介するので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
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iPhone 16e のカメラスペック一覧
まずは、iPhone 16e のカメラスペックをおさらいし、どの機能が削減されたのか を確認しておきましょう。
| 項目 | iPhone 16e |
|---|---|
| メインカメラ画素数 | 4,800万画素（2,400万画素・4,800万画素の高解像度撮影対応） |
| 焦点距離 | 26mm |
| 絞り値 | f/1.6 |
| センサーサイズ | 1/2.55インチ |
| その他の機能 | トゥルートーンフラッシュ / フォトニックエンジン / ナイトモード / スマートHDR 5 / 第1世代フォトスタイル |
| 非対応の機能 | 新世代ポートレートモード＆フォーカスコントロール / 空間ビデオ＆空間写真 / マクロ撮影 / シネマティックモード / 第2世代フォトスタイル / アクションモード |
それでは、実際の写真を見ながら比較していきましょう！
iPhone 16e の昼間撮影テスト：全体的に良好だが、過度なシャープ処理と暖色傾向が目立つ
まず 昼間の撮影性能 ですが、iPhone シリーズのカメラは通常、大きなミスをしない ので、
iPhone 16e も 基本的には iPhone 16 Pro と大差ない画質 になっています。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
しかし、iPhone 16e の写真は全体的に暖色寄り になりやすく、場面によっては かなり黄色味が強くなる こともあります。
「フォトスタイル」は「標準」に固定し、設定も何も変更していない のですが、それでも暖色系の色調になってしまいます。
この色調が好きな人もいるかもしれませんが、個人的には色の偏りが強すぎて、画面の印象に悪影響を与えているように感じました。Apple が今後のアップデートで修正してくれることを期待したいです。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
また、画像を拡大すると iPhone 16e は過度なシャープ処理が施されている ことが分かります。
Apple も 単眼カメラの限界を認識し、アルゴリズムで補正を強化 しているのかもしれません。
確かにディテールはしっかり描写されていますが、エッジが強調されすぎて、不自然なデジタル加工感が出てしまっている のが気になります。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
また、逆光シーンでの HDR の効果は どちらの機種もほぼ同じ ですが、iPhone 16e は アルゴリズムがより積極的に色を補正するため、見た目が派手になりがち です。一方、iPhone 16 Pro の方が、より自然な空の色を再現 できています。
さらに興味深い点として、iPhone 16e のレンズフレア（ゴースト）抑制が iPhone 16 Pro よりも優れている という結果になりました。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
iPhone 16e のポートレートモード：基本的に使えるが、制約が多い
次に、ポートレートモードについて詳しく見ていきましょう。iPhone 16e のポートレート撮影は、iPhone 16 Pro と比較するとかなり制限が多い ことが分かりました。
iPhone 16e のポートレートモードは「人物のみ」対応
iPhone 16e には 超広角レンズが搭載されておらず、深度センサーもないため、ポートレート撮影はすべてソフトウェア処理 となります。その結果、「人物のみ」しか撮影できず、動物や物体には非対応 です。
「ポートレートモードを人物以外のものに向けると、画面に『人物が検出されません』と表示される。しかし、面白いことに、『人物のフィギュア』は正常にポートレートモードで撮影できる。」
▲ 左：人物が検出されません/右：正常判定
また、距離による制約も多く、iPhone 16 Pro では適正距離でも、iPhone 16e では「近づいてください」と表示されることがある ため、撮影時の自由度が低くなります。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
iPhone 16e のポートレートモード：基本的に使えるが、クオリティは控えめ
次に、iPhone 16e のポートレートモードの仕上がり を見ていきましょう。まず、最初の作例では、iPhone 16e の人物が大きく写っている ことが分かります。これは、距離が遠いとシステムが被写体と背景を正しく認識できず、ポートレートモードを適用できなくなるため、必然的に被写体に近づいて撮影する必要がある からです。
また、iPhone 16e は深度情報を記録せず、背景のボケはすべてソフトウェアで処理 されます。
そのため、同じ絞り値（f/2.8）で撮影しても、前景と背景の差が強調されすぎて、不自然に見える 場面が多くなります。
まるで 人物を切り抜いて、無理やり背景にボカしを適用したような印象 で、全体的にリアルさに欠けます。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
エッジ処理は比較的良好ですが、完全にソフトウェア任せなため、細かい部分でミスが発生 することがあります。
例えば、指先やポケットの縁などの処理がうまくいかず、不自然な切り取りになってしまうことがあります。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
次に、2x の焦点距離で撮影 した作例です。この場合も、システムから「被写体に近づくように」と指示が出るため、どうしても人物が大きく写ってしまいます。ただし、今回はエッジ処理やボケの処理は比較的良好で、iPhone 16 Pro と大きな違いはありません。
しかし、皆さんも気づいたかもしれませんが、どの作例でも iPhone 16e の色調は明らかに暖色寄り です。人物と背景の両方が 黄色がかったフィルターをかけたような仕上がり になり、正直なところ あまり美しくは見えません。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
iPhone 16e のポートレートモードは「ぼかし」しか調整できない
編集機能についても iPhone 16e は制限が多い です。深度情報を記録しないため、撮影後にフォーカスポイントを変更することはできず、調整できるのは「絞り値（ぼかしの強さ）」のみ となっています。
iPhone 16e の夜景撮影テスト：センサーサイズが小さく、ナイトモードが頻繁に発動
低照度環境ではナイトモードが強制的に作動
iPhone 16e は 1/2.55 インチの小型センサー を搭載しているため、光の取り込み量が限られています。そのため、少し暗くなるだけでナイトモードが作動しやすい という問題が発生します。
▲ 左：iPhone 16 Pro（ナイトモード1秒） / 右：iPhone 16e（ナイトモード3秒）
ナイトモードが作動すると、撮影時に スマホを長時間保持する必要があり、ブレのリスクが増える ため、使い勝手の面ではやや不満が残る というのが正直な感想です。
夜景撮影では、確かに被写体は写っているものの、右側のネオンの影響を受けやすく、画面全体が青みがかる傾向が見られました。結果として、iPhone 16 Pro に比べると、全体の色調バランスが崩れがち で、見た目の印象も劣るように感じます。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
次に、街灯を正面から撮影したシーン では、iPhone 16 Pro は ナイトモードなしでそのまま撮影できた のに対し、iPhone 16e は 2秒間のナイトモードを要する結果 となりました。その結果、iPhone 16e は明るさが大幅に向上し、ディテールもシャープになった ものの、夜景特有の雰囲気やコントラストの深みが損なわれている と感じました。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
皆さんは、どちらの写真の仕上がりが好みでしょうか？ 🤔
ハイライト抑制（白飛び）の性能は一長一短
高輝度の光源に対する白飛びの抑制 に関しては、iPhone 16 Pro、iPhone 16e ともに シーンによって得意・不得意があり、どちらが優れているとは一概に言えない 結果となりました。
例えば、Adidas の店舗を撮影したシーン では、iPhone 16 Pro のほうが圧倒的に良い結果 となり、iPhone 16e は 看板・店内・右側のネオンライトが完全に白飛び してしまいました。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
しかし、2x で撮影した道路標識の写真 では、iPhone 16e のほうがハイライトをうまく抑えており、逆に iPhone 16 Pro のほうがやや白飛び しているのが分かります。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
さらに、看板の写真 では、iPhone 16e のほうが優れた結果 を出しました。中央の海鮮丼の写真や文字が iPhone 16 Pro よりもクリアに見える という点は興味深い結果です。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
しかし、台北101を撮影した写真 では、iPhone 16 Pro の方がしっかりとディテールを保っており、iPhone 16e は強い光源に対して制御しきれず、全体的に処理が甘くなっている ように見えます。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
夜間撮影時のレンズフレア（ゴースト現象）はどちらも同程度
逆光環境でのレンズフレア（ゴースト）の発生については、昼間撮影では iPhone 16e の方が抑制が優秀 でしたが、夜景撮影では iPhone 16 Pro も iPhone 16e も同じようにフレアが発生 していました。レンズサイズの違いに関わらず、光の屈折による影響は避けられないようです。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
iPhone 16e のデジタルズームは「5倍」が実用の限界
ちなみに、iPhone 16e はシングルレンズながら最大 10倍のデジタルズーム に対応していますが、正直 5倍が「実用に耐えられる」限界 であり、それ以上では画質の劣化が顕著になります。
実際に iPhone 16 Pro と iPhone 16e の10倍ズームを比較 すると、iPhone 16e はディテールが崩れ、もはや何が写っているか分からないレベル になっています。
▲ 左：iPhone 16 Pro / 右：iPhone 16e
結論：iPhone 16e のカメラは「十分に使える」が「快適ではない」
今回の撮影テストを通して、正直に言うと iPhone 16e のカメラは決して「ダメ」ではない と思います。ただし、それは 「価格とターゲット層に見合った性能」 を提供しているだけであり、カメラ性能を重視する人にとっては 「物足りない」 と思われるかもしれません。
「使いやすさ」を重視する人はそもそも iPhone 16e を選ばないし、iPhone 16e を選ぶ人にとっては、十分なカメラ性能を備えている というのが結論です。
つまり、iPhone 16e のカメラは「十分に使えるが、使いやすいとは言えない」 という評価になります。
「画質」よりも「削られた機能」を気にすべき
もし iPhone 16e のカメラで悩んでいる なら、考えるべきなのは 「写真の画質」ではなく、「削られた機能が影響するかどうか」 です。
例えば、以下の機能が 必要かどうかを判断する ことが大切です。
- 超広角カメラ がない
- ポートレートモードの制限（人物専用、焦点距離が固定）
- 空間写真・空間動画 が撮れない
- アクションモード（手ブレ補正強化） が非対応
もし 「これらの機能がなくても問題ない」 と思うなら、iPhone 16e のカメラで十分満足できる でしょう。しかし、1つでも「やっぱり必要かも」と思う機能があるなら、iPhone 16e はおすすめしません。
この記事では、iPhone 16e のカメラ性能について実際の撮影結果とともにレビュー しました。
もちろん、写真の美しさや色合いの好みは 完全に主観的なもの なので、今回のレビュー内容がすべての人に当てはまるとは限りません。皆さんの参考になれば幸いです！
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