Apple の動向に注目している人なら、「Jon Prosser」という名前を聞いたことがあるでしょう。これまでに何度も未発表の Apple 製品に関する情報を先取りして公開してきたことで知られる彼ですが、今回の iOS 26「プレビュー」により話題を集めただけでなく、Apple が訴訟を起こすきっかけにもなりました。
Apple はどのようにして情報漏えいを発見し、誰が漏らしたかを突き止めたのでしょうか?今回はApple の「スパイ対策計画」をご紹介します。
更に面白いコンテンツを観たい人は、Instagram @applealmondjp をフォローしてください!
リークの常習者 Jon Prosser、iOS 26 の画面を公開し Apple から提訴される
今年初め、Prosser は複数の動画を公開し、「内部情報に基づいて再構成した」と主張する iOS インターフェースのレンダリング画像を紹介しました。当初は「iOS 19」と思われていましたが、実際には WWDC で正式発表された「iOS 26」のものでした。
1月に公開された最初の動画では、再設計されたカメラアプリが紹介され、3月には新しくなったメッセージアプリ、4月には「Liquid Glass」スタイルの全体的な UI が公開されました。これらはApple が最終的に発表したデザインと非常に近いものでした。
一部のディテールは異なっていたものの、全体の方向性が一致しており、Apple の注目を集めました。その結果、Apple は Jon Prosser とその協力者である Michael Ramacciotti を相手取り、企業機密の不正入手を理由に訴訟を起こしました。
Apple の訴状全文をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてください。
Apple はどうやってリーク元を突き止めたのか?
今回の事件に関与したのは次の3人です:
- Ethan Lipnik:Apple の従業員、開発用 iPhone を保有
- Michael Ramacciotti:Lipnik の友人
- Jon Prosser:Apple 製品のリークで有名な YouTuber
Prosser と Ramacciotti は協議を行い、Ramacciotti が Apple の開発エンジニアである Lipnik から未公開の iOS 情報を入手し、その見返りとして将来的な報酬や雇用の可能性を提示しました。
Ramacciotti と Lipnik は親しい間柄であり、Ramacciotti が Lipnik の自宅に泊まることもありました。ある日、Lipnik が外出中でしばらく帰宅しないことを追跡装置で確認した Ramacciotti は、事前に入手していたパスコードを使って Lipnik の開発用 iPhone を解除し、FaceTime で Jon Prosser に連絡、未公開の iOS 画面を見せました。Prosser はこの画面を録画し、それを元に動画を制作・公開して収益とアクセスを得ました。
動画公開後、誰かが映像内の一部が Lipnik の自宅であると気付き、本人に通報。Ramacciotti もその後、Lipnik に電話で自分の行為を説明しました(なぜそんなことを自ら話したのかは不明ですが)。この通話は録音されており、Apple が最初に知るきっかけとなりました。
4 月 4 日、Apple は匿名の手紙を受け取り、未公開情報の漏えいがある可能性を知り、調査を開始。その過程でLipnikから音声データを入手し、全体の構図が明らかになったのです。
Apple は 3 人に対してどう対応したか?
今回の訴訟でAppleが求めているのは以下の通りです:
- Apple の機密情報の使用・開示・保存・共有の禁止
- 関連データの返却または破棄
- 調査費用・弁護士費用・業務損失に対する損害賠償
- 悪質な行為としての懲罰的損害賠償の請求
Apple は、開発機器にはまだ未発表の機密情報が含まれていた可能性があり、その漏洩による損害は金銭では計り知れないとしています。
一方、従業員の Ethan Lipnik については、事件への積極的関与はなかったものの、開発機器を管理する立場にあり、情報を知った時点で会社に報告しなかったことから、社内ポリシー違反とされ解雇されました。
Jon Prosser の反応
Jon Prosser は自身の SNS でコメントを発表し、「事件の詳細は知らなかった」と主張し、Apple と話し合う機会を望んでいると述べました。
ただし、真相は今後の調査および裁判で明らかになる見通しです。
Apple による過去の情報漏洩摘発の例
Apple は過去にも数多くのリーク案件に厳しく対処してきました:
-
2024年:iOS ソフトウェアエンジニア Andrew Aude が日記アプリと Vision Pro に関する情報を漏洩し、2025 年 2 月に和解。Aude は謝罪し「深刻かつ高くつく過ち」と述べました。
-
2021年:材料管理責任者 Lancaster が製品設計や仕様などを記者に漏洩。起訴。
-
2011年:中国で iPad 2 の情報を漏洩し、模倣品が先に出回る事態に。3 名の従業員が実刑判決を受けました。
-
2005年:「Think Secret」という情報サイトとその運営者(当時ハーバード大学生Ciarelli)が未発表製品情報を漏洩したとして Apple が提訴。最終的に和解しサイトは閉鎖。
過去 20 年で Apple が摘発したリーク関係者は 35〜40 人に上ると見られています。それでも Apple 製品に関するリークは絶えず発生しており、特に iPhone に関する情報は最も頻繁に漏洩しています。これは Apple の巨大なサプライチェーンに起因し、社内の統制が届かない外部業者や下請け企業からの情報漏洩が防ぎきれないためです。
更に面白いコンテンツを観たい人は、Instagram @applealmondjp をフォローしてください!
もっと読む
iOS 26 Beta 4 リリース!Liquid Glass 効果更新など注目の新機能まとめ