長年にわたり、エントリーモデルの iPad は、iPad 製品ラインの中で「価格が手頃で、スペックは控えめ」という立ち位置にありました。プロセッサがアップグレードされることはあっても、採用されるのは比較的旧世代のチップが中心で、軽度な日常用途をこなす程度にとどまってきました。
しかし最近、次世代のエントリーモデルとされる「iPad 12」が、初めて現行最新世代の「A19 チップ」を搭載する可能性があるという情報が報じられています。
この噂が事実であれば、エントリーモデル iPad の性能水準は大きく引き上げられることになります。高性能を求めない一方で、長期間安心して使用できる iPad を求めるユーザーにとって、iPad 12 はより魅力的な入門機になると考えられます。
海外メディア「Macworld」によると、同メディアが入手した「Apple の内部コードに関する資料」の中で、新しいエントリーモデル iPad、すなわち iPad 12 が、iPhone 17 と同じ A19 チップを搭載する可能性が示されているとのことです。
ただし、これまでのエントリーモデル iPad には明確な傾向がありました。通常は 1〜2 世代前のチップが採用されており、現行の iPad 11 には iPhone 14 Pro と同じ A16 チップ、iPad 10 には iPhone 12 の A14 チップ、iPad 9 には iPhone 11 の A13 チップが搭載されています。
この流れを踏まえると、iPad 12 に A17 Pro や A18 チップが採用される方が自然であり、いきなり A19 チップを採用するのは、コスト面や製品ラインの棲み分けを考えてもやや不自然と言えます。そのため、この噂は異例であり、慎重に受け止められています。
また、Macworld が報じた製品コードにも疑問点があります。同メディアによると、iPad 12 の製品コードは「J581」「J588」とされていますが、過去に流出した Apple の内部コードを見ると、世代更新モデルは通常、連番で管理されてきました。本来であれば「J581」「J582」となるはずであり、この点からも情報の信頼性には一定の留保が必要です。
一方、報道に含まれるその他の内容については、Apple のこれまでの製品構成と整合性が取れています。
現在、iPad Pro はすでに M5 チップへと進化しています。そのため、iPad Air に 1 世代前の M4 チップを搭載するという情報は、iPad Air が担ってきた製品グレード戦略と一致しています。
報道では、新型 iPad および iPad Air に、Apple 自社開発の N1 無線チップと C1X 通信チップが搭載されるとも伝えられています。この動きは、すでに登場している M5 搭載の iPad Pro からも確認できます。
仮に iPad 12 が A19 チップを搭載した場合、Apple の方針から考えると、仕様を一部抑えたバージョンになる可能性は高いものの、それでも一般ユーザーの日常利用には十分な性能を備えると考えられます。
現時点で確認されている Geekbench のベンチマーク結果によると、以下のような性能向上が示されています。
さらに、A19 チップは標準で 8GB のメモリを搭載し、Apple Intelligence にも対応します。これにより、中〜上位モデルとの使用体験の差はさらに縮まり、一般ユーザーにとっては、性能のために上位モデルを選ぶ必要性が低下する可能性があります。
今年初めに iPad Air 7 および iPad 11 が発表された流れを踏まえると、iPad 12 と iPad Air 8 は、最短で 2026 年春に発表されると見られています。また、iPad mini 8 も同時期に登場するという噂があります。
例年通りであれば、プレスリリース形式での発表となる可能性が高く、製品の位置付けやハードウェア構成がどのように変化するのかが注目点です。ただし、最終的な発表時期や仕様については、Apple の公式発表を待つ必要があります。
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