アップルといえば、多くの人がスティーブ・ジョブズと並んで真っ先に思い浮かべるのがティム・クックでしょう。2011 年にジョブズからアップル CEO を引き継いで以来 14 年、iPhone や Mac をはじめとする製品やサービスを結びつけ、より完成度の高いエコシステムを築き上げてきました。
しかし、先ほど海外メディアの報道によると、ティム・クックは早ければ来年にもアップル CEO を退任する可能性があるとのことです。現時点で最有力と目されている後継者は、ハードウェア・エンジニアリング担当上級副社長のジョン・ターナスです。
ティム・クックは 1998 年、スティーブ・ジョブズに招かれて Apple に入社。卓越したサプライチェーン管理能力を武器に、世界的オペレーション担当上級副社長へと昇進し、当時のアップル成長の大きな原動力となりました。
2011 年 8 月、ジョブズは健康上の理由で退任し、ティム・クックが正式に CEO に就任。しかし、その 6 週間後、ジョブズは逝去し、ジョブズ時代は幕を閉じ、クックの新たなリーダーシップの時代が始まりました。
ティム・クックが舵を取って以降、数年にわたり発表されてきた新製品やビジネス戦略から、多くの人がクックとジョブズの運営スタイルの違いを感じているはずです。ジョブズが製品革新と完璧主義を追求したのに対し、クックはチームワーク、オープンなコミュニケーション、継続的改善と持続的成長を重視しました。
「ジョブズを失ったアップルは魂をなくした」と言う人も少なくありません。しかし、クックは既存製品の枠を超えて、ハード・ソフト・サービスを組み合わせたエコシステムを構築し、アップルを「プロダクト企業」から「多角的なテックジャイアント」へと進化させました。彼の 14 年間の指揮で、アップルの時価総額は 3480 億ドルから 4 兆ドルへ、実に 10 倍以上に成長し、世界で最も影響力のある企業の一つとなりました。
そして今、アップルは再び次の転換期を迎えようとしています。先ほどフィナンシャル・タイムズが消息筋の話として報じたところによると、アップルの取締役会と経営陣は最近、CEO の後継計画を「明確に加速」させており、クックは早ければ来年にも CEO を退任する可能性があるといいます。
また報道では、アップルが来年 1 月末の決算発表前に後継者を公表する可能性は低いものの、年初に発表できれば、その後の WWDC や iPhone 発表会へのリーダーシップ移行がスムーズになると伝えています。
こうした動きに注目が集まる一方で、いずれの情報も「アップルはまだ最終決定を下しておらず、発表時期は変更される可能性がある」と強調しています。ブルームバーグのマーク・ガーマンも慎重な姿勢を示し、「報道ほど早く動くとは感じていない」と述べています。
注目すべき点として、今回の後継計画の加速は、業績の問題によるものではないということです。アップルは今年 9 月期に過去最高の売上を記録し、12 月期も史上最強のホリデーシーズンになると予測されています。株価も歴史的高値に近づいています。総合的に見ると、今回の動きは短期的な業績対策ではなく、長期的な計画の一環と言えるでしょう。
後継候補として最も期待されているのが、現在ハードウェア・エンジニアリング担当上級副社長を務めるジョン・ターナスです(今年の発表会で iPhone Air を紹介していた人物)。ターナスは 2001 年にアップルに入社しており、豊富な経験を持つと同時に、アップル幹部の中では比較的若い人材でもあります。
さらに、フィナンシャル・タイムズは最近のアップル幹部の異動――年初に財務担当のルカ・マエストリが退任しケヴァン・パレクが就任したこと、そして前 COO のジェフ・ウィリアムズが本日付で退社したこと――が、ターナスの重要性を一段と高めていると指摘しています。これらの人事変更から、アップルの後継体制への関心が一層高まっています。
総合的に見ると、ティム・クックが来年正式に CEO を退任するかどうかは、まだ多くの変数を抱えています。ただ一つ確かなのは、アップルが確実に次のステージの準備を進めているということです。
後任がジョン・ターナスになるにせよ、アップルが 2025 年に新 CEO を発表するにせよ、この人事は必ずアップルに新たな方向性とエネルギーをもたらすでしょう。ティム・クックの率いた 14 年は終わりを迎えつつあり、アップルの次の 10 年が静かに幕を開けようとしています。
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