最近、EU(欧州連合)の製品エネルギーラベルに関する新たな規制が正式に導入されました。この制度では、メーカーに対して製品のエネルギー効率、バッテリー寿命、修理のしやすさ、耐久性といった情報を明示することが義務付けられており、消費者がより環境に配慮した購入判断を行えるよう支援することが目的です。
これを受けて、Apple は EU 地域の公式サイトで初めて、iPhone や iPad の耐久性やバッテリー寿命などに関する詳細な情報を公開しました。これにより、私たちはより正確かつ総合的に製品の仕様を理解できるようになりました。
しかし興味深いのは、実際のテスト結果で優れたパフォーマンスを示していたにもかかわらず、Apple が自ら評価を引き下げる選択をしたという点です。その背景には外部からの批判や誤解を避ける狙いがあるようです。
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現在、EU 地域向けの Apple 公式サイトでは、iPhone や iPad の商品ページにアルファベットで表示された新しいエネルギーラベルが追加されているのが確認できます。
このエネルギーラベルには、次の6つの評価指標が記載されています:
評価項目 | 内容 |
---|---|
エネルギー効率 | Bランク:省電力性能は同カテゴリの中でも優秀 |
満充電での連続使用時間 | 37時間 |
耐落下性能 | Cランク:ある程度の落下耐性はあるが、最上級ではない |
バッテリー寿命 | 1,000回の充放電で性能劣化なし |
保護等級(IP等級) | IP68:完全防塵、1.5mの水深で30分間の耐水性あり |
特に注目すべきは「満充電での連続使用時間」です。これは Apple 独自の標準テストプロセスに基づいて計測されており、電話、ネット閲覧、動画の再生・ストリーミング、ブラウザゲーム、アップロード/ダウンロードなど、日常的な使用状況を想定した内容となっているため、実用性の高いバッテリー指標だと言えるでしょう。
モデル | 満充電での使用時間 | ビデオ再生 | ストリーミング再生 | 音楽再生 |
---|---|---|---|---|
iPhone 16 Pro Max | 48時間 | 最大33時間 | 最大29時間 | 最大105時間 |
iPhone 16 Pro | 37時間 | 最大27時間 | 最大22時間 | 最大85時間 |
iPhone 16 Plus | 48時間 | 最大27時間 | 最大24時間 | 最大100時間 |
iPhone 16 | 37時間 | 最大22時間 | 最大18時間 | 最大80時間 |
iPhone 16e | 41時間 | 最大26時間 | 最大21時間 | 最大90時間 |
iPhone 15 Plus | 45時間 | 最大26時間 | 最大20時間 | 最大100時間 |
iPhone 15 | 34時間 | 最大20時間 | 最大16時間 | 最大80時間 |
他の iPhone や iPad のエネルギーラベル情報については、EU 向けの Apple 公式サイトで確認できます。
興味深いのは、現在公開されている評価結果の多くは、Apple が自ら引き下げたものであるという点です。たとえば、iPhone 16 Pro のエネルギー効率は実際には「A」ランク相当であったにもかかわらず、Apple は意図的に「B」ランクとして表示しています。
この対応の背景には、「評価基準への懸念」があります。Apple は現時点での EU の評価基準について、まだ完全には正確性が確保されていないと判断し、より保守的なアプローチを採用しているのです。たとえ自社内のテストで最高評価を得たとしても、外部の検証機関によって異なる結果が出た場合に混乱が生じかねません。そのため、Apple はあらかじめ一段階低い評価を提示することで、トラブルを未然に防ごうとしているのです。
つまり、実際の性能は評価以上に優れている可能性が高いということです。評価を下げることで一見見劣りするかもしれませんが、これは慎重かつ透明性を重視する Apple の姿勢を示しているとも言えるでしょう。
Apple は今回の発表に際して、将来的にさまざまな関係機関と連携し、より明確で一貫性のある評価基準を整備していきたいと表明しています。これにより、エネルギーラベルが製品の真の価値をより正確に反映し、消費者が賢明な選択を行えるようになることを目指しています。
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